プロジェクト作成
ボイラープレート活用編 ⚡

TypeScript設定の複雑さを回避!1分でゲーム開発を始めよう

😰 TypeScript設定の「面倒くささ」の正体

TypeScriptでゲーム開発を始めようとすると、実際にコードを書き始める前に、こんなにたくさんの設定ファイルが必要になります:

これらの設定を一つずつ理解して作るのは、上級者でも30分〜1時間かかる作業です!

✨ ボイラープレートが救世主!

ボイラープレート(雛形・テンプレート)とは、上記のような面倒な設定をすべて済ませた「プロジェクトの出発点」のことです。

親切な開発者が「TypeScript + PhaserJS でゲーム開発したい人向け」に、すべての設定を完璧に整えて、GitHubで公開してくれています。

📦 つまり...

複雑な設定 = 30分〜1時間たった1分!

🎯 今回使用するボイラープレート

今回は、photonstorm/phaser3-typescript-project-template という、Phaser公式が推奨するテンプレートを使います。

このテンプレートに含まれるもの:

  • TypeScript完全対応の設定
  • PhaserJSが即座に使えるサンプルコード
  • 開発サーバー(Live Reload対応)
  • 本番用ビルド設定
  • VSCodeでの開発を最適化する設定
GitHub でテンプレートを確認 →

🚀 実際にプロジェクトを作ってみよう

Step 1: 作業フォルダを決める

まず、ゲームプロジェクトを保存する場所を決めましょう。Windowsなら、ドキュメントフォルダの下に「games」フォルダを作るのがおすすめです。

  1. エクスプローラーで「ドキュメント」フォルダを開く
  2. 空いている場所で右クリック → 「新規作成」→ 「フォルダー」
  3. フォルダー名を「games」にする
  4. 作成した「games」フォルダをダブルクリックして中に入る
  5. そのフォルダのアドレスバーに「cmd」と入力してEnterキーを押す

💡 これで、gamesフォルダの場所でターミナルが開きます。

Step 2: ボイラープレートをダウンロード

git clone コマンドを使って、テンプレートプロジェクトを自分のPCにコピーします。

git clone https://github.com/photonstorm/phaser3-typescript-project-template.git my-first-game

💡 コマンドの入力方法:

  • 手入力: 上記のコマンドをそのまま手で入力してもOK
  • コピー&ペースト: このページのコマンドをコピーして、ターミナルで右クリックするとペーストできます
  • Ctrl+V は使えません: コマンドプロンプトでは、通常のCtrl+Vでのペーストは効かないので注意!

「my-first-game」の部分は、あなたの好きなプロジェクト名に変更できます。

このコマンドを実行すると、すべての設定が完了したプロジェクトが「my-first-game」フォルダとして作成されます!

Step 3: プロジェクトフォルダに移動

作成されたプロジェクトフォルダに移動しましょう。

cd my-first-game

これで、ターミナルの作業位置が、新しく作成されたプロジェクトフォルダの中に変わります。

Step 4: 必要なパッケージをインストール

ダウンロードしたボイラープレートには、package.jsonというファイルに「このプロジェクトに必要なパッケージリスト」が記載されています。これらのパッケージを一括でインストールします。

📦 インストールされるパッケージ例:

  • phaser - ゲームエンジン本体
  • typescript - TypeScriptコンパイラ
  • webpack - ファイルをまとめるツール
  • webpack-dev-server - 開発用サーバー
  • その他多数の開発支援ツール
npm install

このコマンドは、package.json に記載されているすべての必要なパッケージを自動でダウンロード・インストールしてくれます。つまり、ボイラープレートの作者が「これらが必要です」と指定したパッケージを、一度に全部インストールする作業です。

時間について:

初回は数分かかることがありますが、これは完全に正常です。数十個のパッケージをインターネットからダウンロードしているため、コーヒーでも飲みながら待ちましょう!

Step 5: VSCodeでプロジェクトを開く

インストールが完了したら、VSCodeでプロジェクトを開きましょう。

code .

このコマンドで、現在のフォルダ(プロジェクトフォルダ)がVSCodeで開きます。

💡 別の方法:

VSCodeを直接起動して、「ファイル」→「フォルダーを開く」から、プロジェクトフォルダを選択してもOKです。

Step 6: 開発サーバーを起動

いよいよ、ゲームをブラウザで確認してみましょう!VSCodeのターミナル(Ctrl+@)で以下のコマンドを実行します。

npm run dev

成功すると、以下のようなメッセージが表示され、ブラウザが自動で開いてサンプルゲームが動作します!

Local: http://localhost:8080/ Network: http://192.168.1.100:8080/ ready - started server on 0.0.0.0:8080

📁 プロジェクト構造を理解しよう

VSCodeでプロジェクトを開くと、左側のエクスプローラーに以下のようなファイル構造が表示されます:

📁 my-first-game/ ├── 📁 src/ // ← あなたがコードを書く場所 │ ├── 📄 main.ts // ← ゲームのメイン処理 │ └── 📁 scenes/ // ← ゲームシーンのフォルダ │ ├── 📄 HelloWorldScene.ts // ← サンプルシーン │ └── 📄 Preloader.ts // ← リソース読み込み ├── 📁 public/ // ← 画像・音声などのリソース │ ├── 📄 index.html // ← ブラウザで表示されるHTML │ └── 📁 assets/ // ← ゲーム素材フォルダ ├── 📄 package.json // ← プロジェクト設定 ├── 📄 tsconfig.json // ← TypeScript設定 ├── 📄 webpack.config.js // ← ビルド設定 └── 📁 node_modules/ // ← インストールされたパッケージ

重要なフォルダ

  • src/ - あなたがコードを書く場所
  • public/ - 画像や音声などの素材
  • scenes/ - ゲーム画面(シーン)のコード

設定ファイル

  • package.json - プロジェクト情報
  • tsconfig.json - TypeScript設定
  • webpack.config.js - ビルド設定

🔄 開発フローを理解しよう

開発サーバー(npm run dev)

ゲーム開発中は、開発サーバーを起動して作業します。これは、コードを変更するたびに自動でブラウザをリロードしてくれる、非常に便利な機能です。

開発サーバーの起動手順:

  1. VSCodeでプロジェクトフォルダを開く
  2. VSCode内のターミナルを開く(Ctrl + @
  3. 以下のコマンドを実行:
npm run dev

💡 開発サーバーの便利な機能:

  • ホットリロード - TypeScriptファイルを保存すると自動でブラウザがリロード
  • エラー表示 - コンパイルエラーがあると、ブラウザとターミナルに表示
  • リアルタイムプレビュー - コードの変更がすぐにゲームに反映される
  • モバイル対応 - 同じネットワーク内のスマホからもアクセス可能

本番ビルド(npm run build)

ゲームが完成したら、本番用のビルドを作成します。これは、実際にWebサイトで公開するための、最適化されたファイル群を生成する作業です。

本番ビルドの実行手順:

  1. 開発サーバーを停止する(Ctrl + C
  2. 以下のコマンドを実行:
npm run build

実行が完了すると、dist フォルダが作成され、公開用のファイルが生成されます。

📦 本番ビルドで最適化されること:

  • コード圧縮 - JavaScriptファイルサイズを最小化
  • TypeScript変換 - TypeScriptをJavaScriptに変換
  • バンドル化 - 複数のファイルを1つにまとめる
  • 不要コード削除 - 使われていないコードを自動削除

🔄 開発の基本的な流れ

1

開発サーバー起動

npm run dev でサーバーを起動

2

コード編集

VSCodeで src/ フォルダ内のTypeScriptファイルを編集

3

自動リロード

ファイル保存と同時にブラウザが自動更新

4

ゲーム確認

ブラウザで変更結果をすぐに確認

5

ビルド & 公開

完成したら npm run build で公開用ファイルを生成

🎯 次のステップ

🎉 おめでとうございます! これで開発環境の準備が完了しました。 次の章では、プログラミングの基礎から学習を始めましょう:

🔧 よくあるトラブルと解決法

❌ 「git」が認識されません

原因: Gitが正しくインストールされていない、またはPATHが設定されていない。

解決法: 前の章の手順に戻って、Gitを再インストールしてください。インストール後は、ターミナルを一度閉じて、新しく開き直してください。

❌ 「npm」が認識されません

原因: Node.jsが正しくインストールされていない。

解決法: 前の章の手順に戻って、Node.jsを再インストールしてください。node -vnpm -v の両方でバージョンが表示されることを確認してください。

❌ 「code」が認識されません

原因: VSCodeのコマンドラインツールが有効になっていない。

解決法: VSCodeを直接起動して「ファイル」→「フォルダーを開く」からプロジェクトフォルダを選択するか、エクスプローラーでプロジェクトフォルダを右クリック→「Code で開く」を選択してください。

⚠️ npm install が非常に遅い

原因: インターネット回線の問題、またはnpmのサーバーが混雑している。

解決法: 数分〜10分程度待ってみてください。それでも終わらない場合は、Ctrl+C で中断して、もう一度 npm install を実行してください。

❌ npm run dev でエラーが出る

原因: ポートが既に使用されている、または依存関係に問題がある。

解決法:

  1. 他のnpm run devプロセスが動いていないか確認
  2. npm install を再実行
  3. VSCodeを再起動してみる
  4. PCを再起動してみる

⚠️ ブラウザに「localhost:8080にアクセスできません」と表示される

原因: 開発サーバーが正常に起動していない。

解決法:

  1. ターミナルでエラーメッセージを確認
  2. Ctrl+C でサーバーを停止
  3. 再度 npm run dev を実行
  4. ターミナルに「ready - started server」と表示されるまで待つ